1つの質点の運動を考える。
基準系 (座標系 : 、普通右手系) を選ぶ。
質点の位置
成分で表すのが便利
色々な座標 : 円柱座標、極座標 (2 次元、3 次元)。これらは、表示の違い。
ベクトルの大きさ :
(絶対値記号で表す)
スカラー量
単位ベクトル : 長さ 1 のベクトル。
(ここから、数学)
「ベクトルには一般に''線型性''が成り立つ」
線型性とは、
をベクトルの函数とした時、
,
を
任意のベクトル、
,
を任意のスカラーとして
ベクトル空間 (線型空間ともいう) の概念が重要である。 ``空間'' という以上、それは単なるベクトルの集合ではなく、 そこに何らかの演算 (内積構造) が定義されていなければ ならない。内積と外積という二種類のベクトルの積演算が物理では 必須である。特に、内積は最も重要で、これにより ベクトルの直交性という概念が表される。(これらについては、一応講義で説明 しましたが、ここでは繰り返しません。自分で自習してください。)
講義の前半では、ベクトルの内積の復習をすると同時に、新しく「外積」 の概念を説明いたしました。最後に、物理におけるベクトルとはなにか、 というお話をいたしました。
(物理におけるベクトルとは?)
物理におけるベクトルとは、単に成分を並べたものというだけの
ものではない。
物理では、測定を可能にする座標系の存在が基本であって、これが
全てを規定する。すなわち、異なる座標系の間の座標変換が基本的
である。座標変換には、並進変換と回転変換がある。すなわち、
2 つの異なる座標系を、
,
として、
での座標ベクトルを
,
でのそれを
で表すと、並進変換は、あるベクトル
を使って
, 回転変換は、ある直交行列 (回転行列)
を
使って
と表される。
回転した新しい座標系
を
一意的に指定するためには、一般に(二つでなく) 三つの角度が必要である
事は、オイラーが初めて(?) 指摘した。この三つの角
をオイラー角という。回転行列は、この
の函数である;
.
物理におけるベクトルは、座標系の回転に対して、その成分が座標ベクトルの
成分と同じ様に変換する量として定義される。つまり、
.
一方、スカラーとは、座標系の回転に対して不変な量である。
この様にベクトルとスカラーを定義した時、内積が回転変換に対して
不変量になることは、内積と直交行列の定義から明らかである。
また、1つの応用として、内積が実はどの回転座標系で計算しても
よいということから、簡単に
という
表式が得られる。ここに、
はベクトル
と
の間の角
である。同様に、
が不変なことから、
外積によるベクトル
の大きさが
で
あることも簡単にわかる。