私たちの研究


原子核を構成している陽子や中性子を結びつけている力、「核力」 (正確には核子間力) は、一般に「強い相互作用」と呼ばれており、自然界に存在する全部で 4 種類ある基本的相互作用の典型例です。

湯川博士は、核力を担う粒子としてパイ中間子の存在を予言しましたが、現在では、パイ中間子は、陽子や中性子等のバリオン (重粒子) とともに、それら自身が、より下位の階層に属するクォークとグルオン (膠粒子) から構成された複合粒子であり、一方、クォークとグルオンは、量子色力学 (QCD) という、量子電磁気学 (QED) に"類似の"運動方程式により支配されている事が分かりました。

しかしながら、QCD は QED と違って、カラー電荷という内部自由度の存在のために、摂動論的な解析を許さない構造をしており、そのために、核力は、発見から既に 3/4 世紀近く経った今日に至るまで、未だ完全には理解されていません。

もし、こうした私たちの認識ガ正しければ、近年、実験面で注目されているストレンジネス(奇妙さ) を含むハイパー核や、ハイペロン-核子相互作用等も、同様な描像で理解できるはずです。私たちは、このような観点から、バリオン間相互作用全般について 「より自然で正確な、強い相互作用の理解」 を目指して研究を進めています。

最近の成果として、バリオン間相互作用の短距離部分を一つのグルオン交換 に基づいたクォーク間相互作用で記述し、中距離や遠距離領域で支配的な 中間子交換模型の特徴を備えた新しい模型 fss2 が完成致しました。 fss2 は核力における豊富な実験データを 1 ボソン交換模型に劣らない 精度で再現するだけでなく、まだ実験データが少ないハイペロン-核子相互作 用やハイペロン-ハイペロン相互作用、更にはいまだ実験データの全く存在しな い八重項バリオン間の相互作用に対してもクォーク模型の対称性 に裏うちされた信頼できるバリオン間相互作用を提供しています。 また、これらのバリオン間相互作用を用いて、核子の三体系である トリトンや陽子-中性子-ラムダ粒子 (シグマ粒子) からなる 一番軽いハイパー核であるハイパートリトンをクォークからなる 複合粒子系の三体問題として厳密に解くことが出来るようになりました。 これらの成果は QMPACK ホームページ http://qmpack.homelinux.com/~fujiwara/qmpack/index.php に公開されています。


西宮湯川記念シンポジウムに おける講演 [ppt file]

講演報告 [ps file] Prog. Theor. Phys. Suppl. No. 156 (2004) 17 - 36

Exotic Baryon について

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H20.3.19-20 山本安夫氏特別講義 「G 行列相互作用とその応用」 presentation files