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導入


第 1 講        (平成 19 年 4 月 10 日)


(現代の物質観)


  速度 $\ll c$ (光速) 速度 $\sim c$
巨視的世界 古典力学(ニュートン力学) 相対性理論
微視の世界 量子力学 相対論的量子論(量子場の理論)

``物質は何から出来ているか?''


巨視的物質 $\Longrightarrow$ 原子・分子 $\Longrightarrow$ 原子核・素粒子 $\Longrightarrow$ クォーク・レプトン
大体の大きさ   $10^{-8}$ cm (1 $\stackrel{\circ}{A}$)   $10^{-13}$ cm (1 fm)   $< 10^{-15}$ cm

[物質の構成要素]


  アップ チャーム トップ  
クォーク ($q$) $\left(\begin{array}{c}
u \\
d \\
\end{array}\right)$ $\left(\begin{array}{c}
c \\
s \\
\end{array}\right)$ $\left(\begin{array}{c}
t \\
b \\
\end{array}\right)$ $\begin{array}{c}
\hbox{mass} \\
\Longrightarrow \\
\hbox{heavy} \\
\end{array}$
  ダウン ストレンジ ボトム  
  エレクトロン ミューオン タウ-粒子  
レプトン($\ell$) $\left(\begin{array}{c}
e \\
\nu_e \\
\end{array}\right)$ $\left(\begin{array}{c}
\mu \\
\nu_\mu \\
\end{array}\right)$ $\left(\begin{array}{c}
\tau \\
\nu_\tau \\
\end{array}\right)$ $\begin{array}{c}
\hbox{mass} \\
\Longrightarrow \\
\hbox{heavy} \\
\end{array}$
  $\cdots$ ニュートリノ  

``統計性'' フェルミ粒子 (スピン 1/2) $\cdots$ それぞれ反粒子が存在

[力をつかさどる粒子] $\cdots$ 自然界の四つの力


    粒子
強い相互作用 核力 (湯川), $\cdots$ $g$ : グルオン(膠粒子)
弱い相互作用 $\beta$-崩壊 $W^{\pm}$, $Z^0$ : 弱ボーズ粒子
電磁力 クーロン力 $\gamma$ : 光子
重力 重力 (graviton ?)

いずれも、スピン 1 のゲージ粒子 $\cdots$ 元来は質量= 0


``量子場の理論''


$\begin{array}{c}
\hbox{QED} \\
\hbox{Quantum} \\
\hbox{electrodynamics} \\
\end{array}$ $\left(\begin{array}{c}
e \\
\gamma \\
\end{array}\right)
 \cdots$ $\begin{array}{c}
\hbox{Similar} \\
\sim \\
\end{array}$ $\begin{array}{c}
\hbox{QCD} \\
\hbox{Quantum} \\
\hbox{chromodynamics} \\
\end{array}$ $\left(\begin{array}{c}
q \\
g \\
\end{array}\right)$

``物理法則の階層性'' $\cdots$ 各階層には独自の物理法則がある。

(例) ベルヌーイの方程式 $\leftarrow$ ニュートンの運動方程式、 気象現象等 $\cdots$


(運動学と動力学)


運動学 (kinematics) : 運動の記述、座標系、$\cdots$ 、各種保存則等


運動学 (dynamics) : 力の作用で物体の運動がどの様に変化するか?
(例) ニュートンの運動法則


質点 : ``質量'' だけを持ち、大きさや形状を持たない(無視する) 点


(注意) 無視が可能かどうかは状況による。例えば、太陽のまわりをまわる 惑星は質点と考えてよいが、惑星の自転を考える時は大きさや形状が 重要。


ニュートン力学における状態の記述は、''平坦な'' (時間・空間に ついて一様な) 空間で考える。また時間は、絶対時間 (全ての座標系に 共通) である。空間内の質点の位置と速度を測定するためには、 座標系が必要である。


(物理に必要な数学)


微分・積分 : ニュートン、ライプニッツ $\cdots$ 速度、加速度の定義


線型代数 : ベクトル、行列 $\cdots$
ベクトル解析 (以後の学習に絶対必要)
固有値問題 (量子力学の基礎)


(教科書、参考書)


植松恒夫 : 「力学」 (学術図書)


(標準的教科書) $\rightarrow$ 解析力学 $\rightarrow$ 量子力学へ繋がるもの


ゴールドシュタイン : 「古典力学」 野間・瀬川訳 (吉岡・物理学叢書)


ランダウ・リフシッツ : 「力学」 広重・水戸訳 (東京図書)


のどちらか。


(もう少し、初等的なもの)


ファインマン・レイトン・サンズ : 「ファインマン物理学」 I -力学 (岩波)


ハリデー・レズニク・ウォーカー : 「物理学の基礎」[1] 力学 (培風館)


バーガー・オルソン : 「力学」 -新しい視点にたって- 戸田・田上訳 (培風館)


戸田盛和 : 「力学」 (岩波物理入門コース 1 )


市村宗武 : 「力学」 (朝倉現代物理学講座 1 )


(シラバス)

1.
運動学         速度、加速度、極座標での成分
2.
運動法則         運動方程式とその応用
3.
保存則         仕事とエネルギー、運動量、角運動量
4.
中心力による運動         ケプラー問題
5.
質点系の運動

振動、剛体は別の講義。非慣性系は一部。



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Yoshikazu Fujiwara 平成19年5月3日